JEPX市況 / 月次解説 2026年8月号 / 2026.08.05 公開

市場連動プランの家庭は8月・9月の電気代に注意 — 7月に電気の「仕入れ値」が急騰しました

電気料金には、電力会社が電気を仕入れる卸市場(JEPX=日本卸電力取引所)の価格があります。いわば電気の「仕入れ値」。この仕入れ値がそのまま毎月の電気代に反映される「市場連動型プラン」を契約している家庭にとって、2026年7月は見過ごせない月になりました——西日本を中心に、仕入れ値が1ヶ月で1.3〜1.7倍に跳ね上がったのです。

この記事でわかること
  • 7月に電気の仕入れ値がどれくらい上がったか(エリア別)
  • 市場連動プランの家庭に「いつ・いくら」響くのか(4人家族の試算つき)
  • 固定単価プランの家庭への影響と、8月・9月の見通し

7月、電気の仕入れ値はどう動いた?

下のグラフは、6月から7月にかけて各エリアの仕入れ値(月平均)がどれだけ動いたかです。中国・四国・九州では1kWhあたり5円以上の値上がり。一方、東京と北海道はほぼ横ばいでした。同じ日本でも、住んでいるエリアで明暗が分かれた月です。

北海道−0.19東北+2.69東京−0.15中部+0.92北陸+3.32関西+3.31中国+5.39四国+5.75九州+5.35← 安くなった | 高くなった →(円/kWh・税抜
エリア6月平均7月平均変化
北海道14.5114.32-0.19
東北15.2917.98+2.69
東京20.0119.86-0.15
中部17.9218.84+0.92
北陸13.9417.26+3.32
関西13.8817.19+3.31
中国10.7916.18+5.39
四国7.8813.63+5.75
九州10.0215.37+5.35

単位: 円/kWh(税抜・スポット市場エリアプライスの月平均)。日本卸電力取引所(JEPX)スポット市場データをもとに当社集計。

なぜ西日本で急に高くなったの?

じつは6月まで、西日本は電気の仕入れ値が全国でいちばん安い地域でした(四国7.88円・九州10.02円)。太陽光発電が多い西日本では、よく晴れる季節は昼間の電気が余り気味になり、価格を押し下げてくれるからです。

ところが7月は、厳しい暑さでエアコンの電気需要が一日中高止まり。安かった昼間や夕方の時間帯の価格が軒並み切り上がり、「安かった分の反動」で値上がり幅が最も大きく出た——というのが当社の見立てです(需給の個別要因には推測を含みます)。

特に高いのは夕方です。7月の関西エリアでは、太陽光の発電が落ちるのに冷房需要は続く18時台の価格が一日平均の中で最も高く(32.34円)、朝方の安い時間帯(13.29円)の2.4倍に達しました。最新の時間帯別の値動きはJEPX市況ページで毎週更新しています。

市場連動プランの家庭には、いつ・いくら響く?

「7月が高かったなら、7月の請求が高いんでしょ?」と思いきや、そうとは限りません。市場の値上がりが電気代に届くタイミングは、プランの方式によって主に2パターンあります。

7月8月9月市場価格が急騰前月の平均を翌月に反映する方式8月の請求から反映使った月の分を翌々月に反映する方式9月の請求から反映
  • 前月の市場平均を翌月に反映する方式 — 7月の高い仕入れ値が8月の請求に乗ります。実例として、ストエネ(sto-energy)が公表している市場価格調整額は、四国エリアで7月分4.91円→8月分12.50円へ+7.59円/kWh上がりました。月400kWh使う戸建4人家族の当社試算モデルでは、約3,000円/月の負担増に相当します。
  • 使った月の市場価格を翌々月の請求に反映する方式 — 7月に使った分の高い単価は9月の請求に現れます。「8月の請求は普通だったから大丈夫」と安心するのはまだ早い、というタイプです。

ご自身のプランがどちらの方式かは、契約中の電力会社の「調整額」「市場価格」などの説明ページで確認できます。春から6月にかけて市場連動プランが安かったのは、市場の仕入れ値が安かったから。この夏はその逆回転が起きる局面です。固定単価プランとの比較はエリア別ランキングでどうぞ。

8月・9月はどうなる?

8月の仕入れ値は、月初6日時点の途中集計で東京23.23円・中部23.08円(税抜)と、7月をさらに上回る水準で推移しています(確定値ではありません)。一方で北海道・東北は7月より落ち着いており、東西の構図はまだ流動的です。

なお、固定単価プランの家庭が毎月払っている「燃料費調整」は、市場価格とは別の仕組み(燃料の輸入価格ベース)で動きます。当社が貿易統計から試算した9月検針分の予報では、東京・東北・中国などはマイナス圏(=差し引きする方向)が続く見込みで、市場の急騰がそのまま固定プランの電気代に跳ねるわけではありません。

エリア9月検針分 燃調予報(円/kWh・税込・低圧)
北海道-4.98
東北-7.25
東京-6.44
中部+2.61
北陸-6.63
関西+3.81
中国-8.42
四国-5.50
九州+1.86

※ 燃調予報は当社試算であり、実際の各社公表値と異なる場合があります。市場連動プランの単価・固定プランの燃料費調整とも、正式な適用単価は必ず各社の公表をご確認ください。

まとめ: いま家庭ができること

  • 市場連動プランの家庭 — まず自分のプランの反映方式(翌月型か翌々月型か)を確認。8月・9月の請求は高めを見込んでおき、可能なら電気の使用を朝方など安い時間帯に寄せるのが有効です。
  • 固定単価プランの家庭 — 今回の市場急騰が単価に直接跳ねることはありません。燃料費調整も多くのエリアでマイナス圏が続く見込みです。
  • 乗り換えを検討中の家庭 — 市場連動プランは「安い季節はおトク・高い季節は負担増」の振れ幅とセットです。春の安さだけで判断せず、夏冬の高い月も含めた年間で比較するのがおすすめです(エリア別ランキング)。

出典: 日本卸電力取引所(JEPX)スポット市場データをもとに当社集計。ストエネの市場価格調整額は同社公表資料にもとづく。掲載の試算・見立ては2026年8月5日時点の情報によります。